2011年3月30日水曜日

僕が死んで、初めて君はボクを知る。



会ったこともない。

話をしたこともない。

なのにボクは君を知っていました。

小さな時からずっと知っている。

僕は君のそばにいつもいました。

でも君は僕のことを知りません。



知って欲しいけれど、この声は届かない。

この手では触れられません。


どうしてでしょうか。


まるで見えない壁があるよう。

すぐそばだよ、ここにいるよ。


振り向いて。


ボクが見ているよ。

僕のほうを向いて。

ボクに気がついて。



そう。


そうやって僕をみて。

ああ、やっと気がついてくれた。

君は少し大人びたね。

僕と同じだ。

黒いくせっ毛を何度もとかして。

長いまつげがかわいらしくて。

白い肌によくはえる。


細くて繊細な指先が顔をなぞる。


恥ずかしくて君は目をふせて。


僕が、大丈夫だよっていうと。
笑顔でいってしまった。

その笑顔が好きです。


ずっと一緒にいようよ。
僕がずっと一緒にいてあげる。


お願いだよ。


でも君は離れていった。




行かないで。


僕がここにいるのに。



君が大切にしていた鏡は割れてしまいました。


もう僕はボクをみてくれない。



僕は。



僕が死んで初めて、僕はボクを知った。



死んだのは僕じゃなくて君のほう。


鏡に映ってたのは・・・・




世界で一番愛しい僕。


覚める事のない眠りについた君。








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