高らかに笑うのは誰。
罵る訳でもなく。
称賛する訳でもなく。
ただ笑う。
悲しくても。
寂しくても。
苦しくても。
ただただ笑う。
瞳は赤みを帯びている。
喉は渇ききっている。
心は絶望している。
けれども笑う。
なぜかって?
笑うことしか出来ないからさ。
そう作られたからさ。
夢を描いた筈が。
絶望を描いてて。
理想を描いた筈が。
現実を描いてて。
深紅の塗料は時間と共に漆黒へと変わっていく。
描けば描くほど、かつて見た夢が遠退いていく。
描いても描いても埋まらないキャンパス。
望んでも望んでも、手に入らない。
忘れてしまった。
悲しむこと。
憤怒すること。
痛むこと。
怖がること。
喜ぶこと。
スベテ…
目をつぶると見える世界。
開くと消えてしまう世界。
初めて見渡した世界。
初めて笑ったのを覚えている。
あまりにその世界が滑稽だったから。
今でも鮮明に覚えてる。
笑い声が世界を揺るがした。
スベテを引きずり込む様にして。
気が付けばシジマのなかに1人佇む。
世界がよく見える。
ずっと美しい。
煩わしいものは消えた。
残るのは僕の高らかな笑い声だけ。
次は何をしよう。
笑うことしか出来ないけど。
笑うことで全ては上手くいく。
誰か聞いて。
誰か聞いたことがあるか?
僕の笑い声を。